灸の臨床|肩こり① 病態と適応
この教材が答える問い肩こりの「こり」は測れるのか
この教材の数字3つ
- 肩こりの自覚度と筋硬度は相関しなかった硬さ計と触診は一致したが、肩こり群と非肩こり群で硬さに差はなかった
- 症状のある僧帽筋では血流が低い慢性僧帽筋筋痛76人で、疼痛側の局所血流が一貫して低かった
- 頸部痛を主訴とした椎骨動脈解離は平均36.8歳58例の63.8%が女性。年齢と性別で「心配ない」とは言えない
臨床への翻訳本文からの抜粋
- 10章 刺激後の血流反応は患者で小さい
症状が長く強い患者ほど、局所の血流反応は小さくなる方向で報告されている[10]。「よく効く人」と「効きにくい人」の差を施術者の技術の差として抱え込む前に、この所見を思い出す。効きにくさは、患者の側の状態を反映している可能性がある。
- 13章 クラスターとして読む
施術者が実務で使える形にすると、次の3点になる。(1)所見が複数重なっているか。(2)前回来院時から新しく出現したものか。(3)痛みの性状が、機械的な負荷と対応しない形に変わっていないか。この3点は、毎回の問診に組み込める。
- 17章 この分野で分かっていないこと
これらの空白は、施術をしてはいけない理由ではない。「硬いから、こる」と説明してはいけない理由である。患者に伝えるなら「肩こりの強さと筋の硬さは、研究では対応していませんでした。ですから硬さではなく、あなたが感じている強さと、できるようになったことで判断します」となる。これは弱い説明ではなく、正確な説明である。
この教材を読むとできるようになること
- 序章「こり」は何を指しているのか本書に出てくる数値がどの研究デザインから来たものかを、読みながら見分けられるようになる。
- 第I部訴えの輪郭「肩こり」と「頸部痛」がどうずれているかを、定義と疫学の側から説明できるようになる。
- 第II部「こり」は測れるのか硬さと症状を別の量として扱えるようになり、施術の効果を硬さで語らなくなる。
- 第III部筋の中で何が起きているか症状のある筋で実際に測られているものが何かを、血流と筋線維の側から言えるようになる。
- 第IV部見落としを防ぐ頸部の重篤病態を、頻度ではなく所見の組み合わせで拾えるようになる。
- 第V部測る・選ぶ自覚・硬度・圧痛閾値を役割で使い分け、灸を選ぶ前の選択肢を説明できるようになる。
分かっていないこと第17章「この分野で分かっていないこと」より
- こりの自覚は何と相関するのか
- 日本の肩こり患者の筋血流
- 肩こりの検証された重症度尺度
灸エビデンス・ライブラリ https://kyu.yomogi-base.jp