灸の臨床|不定愁訴① 病態と測り方
この教材が答える問い検査で説明のつかない訴えを、鍼灸師はどう理解し、どう測るか
この教材の数字3つ
- 「不定愁訴」は定義で桁が変わるプライマリケアの身体表現性障害は26.2%、一般住民の身体的苦痛症は2.0%と報告されている
- 症状は入力ではなく推論として記述されている持続する身体症状を予測誤差の処理の失敗とみなすモデルが提案されている
- 見落としの割合は測られている機能性身体症状の診断変更率は診断評価研究で8.8%、追跡研究で0.5%
臨床への翻訳本文からの抜粋
- 12章 何を測ると施術判断が変わるか
毎回の施術ごとに点数を取ると、日々の揺れを効果と読み違える。初診・4週・8週・12週のように区切って取り、区切りごとに継続の可否を患者と一緒に決める。判定の間隔をあらかじめ決めておくことは、施術者にとっても、際限のない通院を勧めない歯止めになる。
- 15章 引き受ける範囲と、送り返す基準
不定愁訴の患者にとって、施術室は「訴えを最後まで聞いてもらえる場所」であることが多い。それは効果の交絡因子であると同時に、施術者が意図的に扱える臨床資源でもある。ただし、それを灸そのものの効果として説明してはならない。両者を分けて語れることが、この領域の専門性である。
- 17章 この分野で分かっていないこと
これらの空白は、施術をしてはいけない理由ではない。効果を断定してはいけない理由である。患者に説明するときは「この症状に灸がどれだけ効くかを直接調べた研究は見つかっていません。似た症状を扱った研究はありますが、質は高くありません。そのうえで、あなたの場合に何をどう測って判断するかを決めましょう」と言える。これは弱い説明ではなく、正確な説明である。
この教材を読むとできるようになること
- 序章訴えを、病名ではなく構造として見る本書に出てくる数値がどの研究デザインから来たものかを、読みながら見分けられるようになる。
- 第I部「不定愁訴」が指しているもの「不定愁訴」「MUS」「身体症状症」「身体的苦痛症」の範囲の違いを、有病率の数字とともに説明できるようになる。
- 第II部訴えはどう作られるか症状が説明されないことと、症状が実在しないことを、別のこととして語れるようになる。
- 第III部測る施術の効果を判定できる尺度を選び、いつ測るかを自分で決められるようになる。
- 第IV部見落としを防ぐ器質疾患の見落としへの恐れを、実際の頻度と釣り合った大きさで扱えるようになる。
- 第V部経過と未解決問題自然経過という基準線を持ったうえで、自院の成績を語れるようになる。
分かっていないこと第17章「この分野で分かっていないこと」より
- SSD/BDD患者への灸の偽対照試験
- SSD患者への鍼の試験
- 日本語圏の対照群つき試験
灸エビデンス・ライブラリ https://kyu.yomogi-base.jp