灸の臨床|不定愁訴② エビデンスと臨床判断
この教材が答える問い灸は不定愁訴に何をどこまで変えられるのか
この教材の数字3つ
- 診断基準で選ばれた患者への灸の偽対照試験は見出せなかった現在の説明はすべて隣接症候群からの外挿である
- 施術中の改善は偽灸でも起きるがん関連倦怠感の試験では偽灸群も治療期間中は有意に改善した
- 施術の場面だけで症状緩和の報告割合は28%から62%まで動く最も頑健な成分は患者-施術者関係だと報告されている
臨床への翻訳本文からの抜粋
- 16章 自然経過と平均への回帰
初診時のもっとも悪い状態を基準にして「◯割改善した」と語るのは、自然経過と平均への回帰を効果として計上することである。自院の成績を語りたいなら、初診時ではなく2回目来院時の値を基準にする、あるいは症状が落ち着いている時期の値も記録する。第1巻で扱ったSSS-8のような尺度を定期的に取っていれば、変動の幅そのものが見える。
- 17章 灸の有害事象と、この集団に固有のリスク
灸の有害事象の発生率は不明である[20]。分母が分かっていない以上、「めったに起きない」と言い切ることはできない。言えるのは、報告されている事象の種類と、それを減らす条件(体位・時間・距離・熟練度・患者の状態・煙・環境)である[19]。この6条件は、施術のたびに自分で点検できる。
- 19章 未解決問題と、次に必要な研究
これらの空白は、灸を据えてはいけない理由ではない。効果を断定してはいけない理由である。不定愁訴をもつ人は、断定された説明とその不履行を何度も経験してきていることが多い。断定しない説明は、この集団に対してはむしろ誠実さとして受け取られる。
この教材を読むとできるようになること
- 序章効果を語る前に、何と比べたかを見る試験を読むとき、効果量より先に対照を見る習慣がつく。
- 第I部直接の証拠を探す灸と不定愁訴について、直接の証拠がどこまで存在しないのかを正確に言えるようになる。
- 第II部隣接症候群から借りる隣接する症候群の試験から何を借りてよく、何を借りてはいけないかを線引きできるようになる。
- 第III部効果のどこまでが灸か観察された改善を、灸・非特異的効果・自然経過に分けて考えられるようになる。
- 第IV部安全性灸の有害事象について、報告されている種類と、発生率が不明であることの両方を伝えられるようになる。
- 第V部臨床判断効果を保証しない代わりに、判定できる形で施術を設計できるようになる。
分かっていないこと第19章「未解決問題と、次に必要な研究」より
- 診断基準で選ばれた患者への灸の偽対照試験
- 慢性疲労に対する灸と偽灸の比較
- 灸の有害事象の発生率
灸エビデンス・ライブラリ https://kyu.yomogi-base.jp