灸の臨床|緩和ケア① 病態と適応
この教材が扱うことこの巻が引き受ける範囲
この教材の数字3つ
- 緩和ケア病棟で鍼灸を行っていたのは回答98施設中6施設6.1%。在宅療養支援診療所で鍼灸師と連携しているのは14.3%だった
- 緩和ケアを必要とする成人の38.5%は心血管疾患で、がんは34%灸の臨床試験はほぼすべてがん患者を対象としており、分布が一致していない
- よく引用される「血小板2,135回で有害事象なし」は鍼のデータ灸には言及がない。鍼は穿刺の出血、灸は熱傷と感染で、リスクの種類が違う
臨床への翻訳本文からの抜粋
- 10章 灸の有害事象の実像
煙と匂いは、有害事象の一覧に明示的に含まれている[14]。緩和ケアでは、悪心のある患者、呼吸困難のある患者、多床室の患者にとって、煙と匂いは効果の前に立ちはだかる負担になる。「煙が出ない方法を選べるか」は、経穴の選択より前に決める項目である。
- 12章 何を記録し、何を渡すか
記録には、行ったことだけでなく行わなかったことと、その理由を書く。「浮腫のため中止」「照射部位のため部位を変更」という記録は、鍼灸師が安全性の判断を行っていることをチームに示す唯一の証拠になる。効果の記録より、この記録のほうがチームでの立場を作る。
- 13章 この領域で分かっていないこと
据えないという判断も、施術の一部である。武田らの調査で悪化例がゼロであったこと[5]は、灸が安全だからというより、据える患者と据えない場面が現場で選別されていた結果とも読める。その選別を言葉にできることが、この巻の到達点である。強い刺激でも、多くの経穴でもなく、負担の総量を最小にしたうえで、変化を測って渡せること。それが緩和ケアで灸に求められている水準である。
この教材を読むとできるようになること
- 序章この巻が引き受ける範囲知見の階層を先に持ち、同じ「報告されている」を階層ごとに読み分けられるようになる。
- 第I部緩和ケアという枠組み緩和ケアの対象と開始時期を、WHOの定義と日本の実施率という数字で語れるようになる。
- 第II部何を測るかNRSとCFSのように、尺度を変えると結論が変わることを具体例で説明できるようになる。
- 第III部据えない理由を先に持つ皮膚・血液・骨・感覚のそれぞれについて、据えない理由を出典つきで言えるようになる。
- 第IV部チームの中の鍼灸師施術の結果を、他職種の意思決定を変える形の記録に翻訳できるようになる。
- 第V部未解決問題この領域で何が分かっていないかを、次に調べる人が着手できる粒度で渡せるようになる。
分かっていないこと第13章「この領域で分かっていないこと」より
- 照射部位への施灸
- 血液毒性下での施灸
- 有害事象の発生率
灸エビデンス・ライブラリ https://kyu.yomogi-base.jp