← 教材一覧 灸エビデンス・ライブラリ
Katakori / Neck-Shoulder Stiffness I — 全18章

灸の臨床|肩こり① 病態と適応

硬いから、こるのか。
施術者が毎日触っているものの正体を、測定の側から検め直す。

第1版 2026年9月 定義と分類 / 筋硬度の測定 / 微小循環 / レッドフラッグ / 評価尺度

3分で要点だけ

本文で示した報告値のうち、この教材の骨格になる3点。

  1. 肩こりの自覚度と筋硬度は相関しなかった硬さ計と触診は一致したが、肩こり群と非肩こり群で硬さに差はなかった
  2. 症状のある僧帽筋では血流が低い慢性僧帽筋筋痛76人で、疼痛側の局所血流が一貫して低かった
  3. 頸部痛を主訴とした椎骨動脈解離は平均36.8歳58例の63.8%が女性。年齢と性別で「心配ない」とは言えない

続けて読むなら 序章から。要点だけ確かめたい場合は 理解度チェック へ。

1枚ノート この1冊をA4 1枚に。数字3つ・臨床への翻訳・分かっていないことだけを、本文からの抜粋で。印刷して配れます。 1枚ノートを見る →

序章

「こり」は何を指しているのか

肩こりは、日本語圏で最も多く語られる訴えのひとつでありながら、国際的に対応する疾患概念を持たない。施術者は毎日それを触り、硬さを確かめ、緩んだと判断している。その判断の土台になっている前提を、本書は測定の側から検め直す。灸そのものの効果は第2巻で扱う。

この部を読むと本書に出てくる数値がどの研究デザインから来たものかを、読みながら見分けられるようになる。

00本書の読み方とエビデンスの階層

本書は臨床判断の材料である。読者が最初に受け取るべきものは結論ではなく、結論の疑い方である。この章では、本書に出てくる数値がどの研究デザインから来たものかを見分けるための階層表を先に渡す。

0-1 なぜ肩こりから始めるのか

肩こりは、鍼灸院で最も多く聞く訴えの一つである。そして施術者は、この訴えに対してほぼ例外なく触って確かめるという手順を踏む。硬いところを探し、そこに刺激を入れ、緩んだかどうかを再び触って判断する。

この手順には、ひとつの前提が埋め込まれている。こっている人の筋は硬く、緩めば症状は軽くなるという前提である。本書は、この前提が測定によってどこまで支持されているかを検める。結論を先に言えば、支持されていない部分がある。

0-2 エビデンスの階層

表 0-1 本書で用いるエビデンス階層
階層デザイン典型的な弱点
A盲検化された無作為化比較試験、系統的レビュー・メタ解析本数が少ない。偽刺激の妥当性が問われる
Bコホート・横断・比較研究(客観指標つき)因果を示さない。対象数が小さい
C動物実験(機序の解明)刺激条件がヒト臨床と異なる
D非盲検の無作為化比較試験、単群前後比較出版バイアスが大きい
E症例報告・症例集積(非査読を含む)査読がない場合がある。診断精度は推定できない

本書の中核である第II部・第III部は、主として階層Bの測定研究である。無作為化比較試験ではないため因果は示さないが、何が測れて何が測れなかったかという事実は動かない。

0-3 本書が扱わないこと

灸の効果は本書では扱わない。効果を論じるには、まず対象と物差しが要る。灸のエビデンスそのものは第2巻『灸の臨床|肩こり② エビデンスと臨床判断』で扱う。

読み方の注意

本書には、施術者の日常的な手順を否定するように見える数値が出てくる。それらは施術をやめる理由ではなく、何を根拠に良くなったと言うのかを問い直す材料である。触診が無意味だという結論は、本書のどこにも書いていない。

第I部

訴えの輪郭

「肩こり」は日本語の言葉である。国際的に対応する疾患概念はなく、研究の多くは「頸部痛」として行われている。まずこのずれを押さえる。

この部を読むと「肩こり」と「頸部痛」がどうずれているかを、定義と疫学の側から説明できるようになる。

01肩こりの定義——何を総称した言葉か

肩こりには、日本の学会が示した記述的な定義がある。定義の文面そのものが、この訴えの扱いにくさを表している。

1-1 日本整形外科学会の記述

日本の理学療法系の総説によれば、肩こりは日本整形外科学会肩こりプロジェクト委員会により「頸より肩甲部にかけての筋緊張感(こり感)、重圧感、および鈍痛などを総称」するものと定義されている[1]

この定義には、原因も、部位の厳密な境界も、重症度の基準も含まれていない。含まれているのは感覚の種類の列挙だけである。つまり肩こりは、患者が報告する感覚によって定義されている。

1-2 国際的な対応語がない

英語圏の研究の多くは「neck pain(頸部痛)」として行われている。頸部痛は痛みを軸にした概念であり、日本語の「こり感」「重圧感」を必ずしも含まない。したがって、頸部痛の研究データを肩こりにそのまま当てはめると、対象がずれる。

この構造は、本ライブラリの『灸の臨床|不定愁訴①』で扱った「不定愁訴」と同じである。日本語の臨床語が、国際的な疾患分類の枠に収まっていない。

臨床への翻訳

「肩こりに効く」という説明の根拠として頸部痛の研究を引くとき、対象がずれていることを自覚しておく。患者に伝えるなら「肩こりそのものを対象にした研究は多くありません。近い訴えである頸部痛の研究はあります」と言うのが正確である。

02一次性と二次性

肩こりを引き受けるとき、施術者が最初に行う分類がこれである。二次性を見落とさないことが、第IV部につながる。

2-1 二分する

肩こりは、原因疾患が明らかでない一次性肩こりと、原因疾患が明らかな二次性肩こりに分類される。鍼通電療法の適応は一次性肩こりが基本とされている[1]

この分類は、第1巻にあたる腰痛の教材『灸の臨床|腰痛①』で扱った、非特異的腰痛と特異的腰痛の区別と同じ構造を持つ。異なるのは、頸部では見落としたときの帰結が重くなりうる病態が別に存在することである(第11章・第12章)。

2-2 「一次性」の中身は空白のまま

一次性肩こりとは、原因疾患が同定されなかったという否定形の分類である。何が起きているかを述べた分類ではない。第II部と第III部は、この空白の中で何が測られてきたかを扱う。

臨床への翻訳

初診で行うべきことは、こりの強さを測ることではなく、二次性を疑う所見がないかを確かめることである。順序を逆にすると、原因のある肩こりを長期間さすり続けることになる。第15章に、二次性を疑う所見を整理した。

03頸部痛としての疾病負荷

肩こりの疫学は日本語圏の統計にしかない。一方、頸部痛については世界規模の推定がある。数字の出所を区別して押さえる。

3-1 世界の推定値

世界疾病負荷研究2021のデータを用いた解析では、2021年の頸部痛の年齢標準化発生率は人口10万あたり519(95%不確実性区間 408〜633)、障害を抱えて生きた年数(YLD)率は242(163〜343)と報告されている[2]

1990年から2021年にかけて、いずれの率も全体として増加傾向を示した。女性はすべての年齢層で男性より一貫して高い負担を示し、地域別ではイラン・イスラム共和国が最も高く、ニュージーランドが最も低かった[2]

3-2 増加の実数

世界疾病負荷研究2019を用いた別の解析では、1990年から2019年にかけて頸部痛の世界の発生数が71.89%、有病者数が98.21%、YLD数が78.17%増加したと報告されている[3]

年齢・時期・出生コホートの分析では、負担は中年から高齢に集中しており、時期効果と出生コホート効果の変動は1990年から2019年にかけて小さかった。2019年と比較して、2044年までに発生数が134%、有病者数が142%、YLD数が140%増加すると予測されている[3]

表 3-1 頸部痛の世界的な負担[2][3]
指標出典の年次
年齢標準化発生率(10万対)519(408〜633)GBD 2021
年齢標準化YLD率(10万対)242(163〜343)GBD 2021
1990〜2019年の有病者数の増加98.21%GBD 2019
2019〜2044年の有病者数の予測増加142%GBD 2019
この数値の限界

これらは頸部痛の推定であり、肩こりの推定ではない。また発生数・有病者数の増加には人口の増加と高齢化が含まれる。年齢標準化した率の動きと、実数の動きを混同しないこと。

臨床への翻訳

この訴えは今後も増える側にある。だからこそ、施術者が「良くなった」を何で判断しているのかを言語化しておく価値がある。次の第II部が、その判断の土台を検める。

第II部

「こり」は測れるのか

本書の中核である。施術者が触って確かめている硬さと、患者が感じているこりは、同じものなのか。日本の研究がこれを正面から測っている。

この部を読むと硬さと症状を別の量として扱えるようになり、施術の効果を硬さで語らなくなる。

04自覚度と筋硬度は相関しなかった

肩こりの自覚と、器械で測った筋の硬さの関係を調べた日本の研究がある。結果は、施術の前提を揺さぶるものだった。

4-1 設計

肩こり群60名と非肩こり群10名を対象に、肩こりの自覚度と筋硬度を測定した比較研究がある。硬度は生体組織硬さ計PEK-1による測定と、第三者による触診の両方で評価された。肩こり群は鍼灸治療を実施した群と実施しなかった群に分けられた[4]

4-2 結果

表 4-1 肩こりの自覚度と筋硬度の関係(肩こり群60名・非肩こり群10名)[4]
検討した関係結果
硬さ計の測定値と第三者の触診有意な相関を認めた
肩こり群と非肩こり群の硬さ両群間に差がなかった
自覚度と硬さ相関関係を認めなかった
治療前後の自覚度の変化量と硬さの変化量相関がなかった
鍼灸治療の効果治療実施群で高かった

著者らは、この結果から「肩こりと硬さとの関係性がない」ことが示されたとしている[4]

4-3 4つの所見の関係

この研究が同時に示したことを、順に整理する。

  1. 硬さは測れている。器械と触診が一致した以上、施術者が触って感じている硬さは、器械でも捉えられる実在の量である
  2. しかし、その硬さは肩こりの有無を区別しなかった。肩こり群と非肩こり群で差がなかった
  3. 自覚の強さとも対応しなかった。硬い人ほど強くこっているわけではない
  4. それでも鍼灸治療の効果は治療実施群で高かった。症状は動いている
この研究の位置づけ

対象数は肩こり群60名・非肩こり群10名であり、非肩こり群は小さい(階層B)。単一の研究であり、これだけで結論を確定させることはできない。ただし、施術者の日常的な前提を正面から測った日本語圏の研究として、この報告は避けて通れない。

臨床への翻訳

「硬いところが緩んだから良くなった」という説明は、この報告と整合しない。硬さは実在するが、症状の強さとは対応していなかった。施術者が言えるのは「症状が軽くなった」までであり、その理由を硬さの変化に帰属させることは、報告値を超えている。

05硬さを測る道具と、触診との一致

前章で「硬さは測れている」と述べた。その測り方には複数あり、それぞれ測っている量が違う。

5-1 3種類の測り方

表 5-1 本書に出てくる筋の硬さの測定法
方法測っている量本書での出典
生体組織硬さ計(押し込み式)組織表面の押し込み抵抗文献[4][5]
超音波ストレイン・エラストグラフィ組織のひずみの相対的な分布文献[6]
せん断波エラストグラフィせん断弾性率(絶対量)文献[7]

押し込み式の硬さ計は、皮膚・皮下組織・筋を一括して押している。エラストグラフィは超音波で組織のひずみや弾性率を推定する。同じ「硬さ」という言葉でも、測っている物理量が異なる。

5-2 触診と器械の一致

第4章の研究では、硬さ計の測定値と第三者による触診のあいだに有意な相関が認められた[4]。この所見は、施術者の触診技術を裏づけるものである。

ただし裏づけられたのは硬さを検出する能力であって、症状を検出する能力ではない。同じ研究で、その硬さは肩こりの有無とも自覚度とも対応しなかった[4]

臨床への翻訳

硬さの評価を記録に残すこと自体は有用である。触診は器械と一致する。ただしその記録を「症状の指標」として扱ってはならない。症状は症状として、患者自身に数値で答えてもらう必要がある(第14章)。

06硬度が症状と相関した集団もある

第4章だけを読むと「硬さは症状と無関係だ」と結論しかねない。別の集団では、逆の所見が報告されている。

6-1 緊張型頭痛の患者203人

緊張型頭痛と診断された203人を対象に、携帯型の筋硬度計で上部僧帽筋の硬さを、HIT-6とMIDASで頭痛の重症度を評価した横断研究がある[5]

筋硬度の平均値は左32.5 ± 5.8、右31.3 ± 5.6であった。年齢・性別その他の臨床変数で調整したロジスティック回帰の結果、HIT-6得点は筋硬度(β = 0.148)、慢性緊張型頭痛(β = 0.304)、年齢(β = −0.203)と正の関連を示した[5]

6-2 同じ研究で相関しなかったもの

頭痛の重症度と有意に関連した臨床症状には、脱力(β = 0.154)と眼瞼の重い感じ(β = 0.154)が含まれた。一方、肩こりと頸部痛は頭痛の重症度と有意に関連しなかった[5]

つまりこの研究では、器械で測った僧帽筋の硬さは頭痛の重症度と関連したが、患者が訴える肩こりは関連しなかった。第4章の所見と同じ方向の乖離が、別の集団でも観察されている。

表 6-1 緊張型頭痛203人における頭痛重症度との関連[5]
要因β関連
上部僧帽筋の硬度0.148あり
慢性緊張型頭痛0.304あり
年齢−0.203あり
脱力0.154あり
眼瞼の重い感じ0.154あり
肩こり——有意な関連なし
頸部痛——有意な関連なし
要点

硬さという客観量は、ある集団では症状(頭痛)と関連する。しかし患者が「肩がこる」と訴えることは、その硬さとも、頭痛の重さとも、安定して対応していない。客観量と主観の訴えのあいだに、いくつもの層があるということである。

臨床への翻訳

肩こりを訴える患者に頭痛を伴うことは多い。この研究は、その患者の僧帽筋硬度が頭痛の重さと関連しうることを示している[5]。硬さを扱う意味がないわけではない。ただし「こり」という訴えそのものの代理指標としては使えない。

07硬さは介入で下がる——健常者での測定

硬さは介入で動く。ただし動くのは硬さだけではない。同時に何が動いているのかを、測定研究から確認する。

7-1 ストレッチによる変化

健常若年成人22人(年齢中央値21.0歳、四分位範囲20.0〜21.0)を対象に、上部僧帽筋の自己ストレッチ前後の変化を測定した研究がある。僧帽筋の硬さは超音波ストレイン・エラストグラフィで、皮膚と脈絡膜の血流はレーザースペックルフローグラフィで評価された[6]

自己ストレッチ後、収縮期・拡張期・平均血圧、眼灌流圧、唾液アミラーゼ活性、眼精疲労と肩こりのVAS、僧帽筋の硬さ、皮膚と脈絡膜の平均ブラー率がいずれも有意に低下した。眼圧と心拍数は変化しなかった[6]

著者らは、上部僧帽筋の自己ストレッチが筋の硬さを減らし健常成人に弛緩をもたらすこと、それが交感神経活動の低下と、全身・脈絡膜・局所皮膚の循環の低下を伴うことを示したと述べている[6]

7-2 超音波療法による変化

肩の自覚的な痛みがない20代の健常成人27人(年齢中央値21.0歳)を対象に、僧帽筋への単回の超音波療法の前後を測定した研究もある。対照群は置かれていない[7]

眼圧、収縮期・拡張期・平均血圧、心拍数、眼灌流圧、唾液アミラーゼ活性、平均ブラー率がいずれも有意に低下し、せん断波エラストグラフィで測った僧帽筋のせん断弾性率も有意に低下した。ただし各パラメータのあいだに有意な相関は認められなかった[7]

確実性についての注記

いずれも健常者を対象とした小規模な測定研究であり、後者は対照群を置いていない(階層B)。介入前後で多くの指標が同時に動いたことは、それらが互いに因果関係にあることを意味しない。実際、後者では指標間に相関がなかった[7]

臨床への翻訳

硬さが下がったという観察は、施術の効果の証明にならない。健常者にストレッチをさせても下がるからである[6]。しかも同時に血圧・皮膚血流・唾液アミラーゼまで動いている。施術後に硬さが下がったことを患者に示すのは構わないが、それを「症状が改善した根拠」として語らないこと。

第III部

筋の中で何が起きているか

硬さが症状と対応しないなら、症状のある筋には何が起きているのか。北欧の一連の研究が、微小循環と筋線維の側から答えを出している。

この部を読むと症状のある筋で実際に測られているものが何かを、血流と筋線維の側から言えるようになる。

08僧帽筋の微小循環——疼痛側で低い

硬さではなく血流を測ると、症状のある筋には一貫した所見が現れる。

8-1 76人の測定

慢性頸部痛で就労能力に支障が生じ、スウェーデンの施設に紹介された300例のうち、最終的に慢性僧帽筋筋痛と診断された76人(女性46人・男性30人)を対象とした研究がある。60%は持続痛を、40%は身体的な労作後または就労時の痛みを有していた。健常女性20人が対照群として参加した[8]

全対象の左右の僧帽筋を、レーザードップラー血流計と表面筋電図で同時に測定した。段階的に強度を上げる1分間の収縮を、1分間の休息を挟んで繰り返す疲労課題のあいだの測定である[8]

8-2 結果

患者では疼痛側の局所血流が一貫して低かった。この差は低い収縮強度において統計的に有意であった。筋の緊張はやや上昇しており、高い収縮強度で表面筋電図の実効値がわずかに増加して有意となった。筋電図の平均パワー周波数には変化がなかった[8]

著者らは、この局所血流の低下が筋内圧の変化では説明されないこと(僧帽筋の筋内圧は通常の活動では低く、局所血流を妨げない)を指摘したうえで、慢性僧帽筋筋痛では局所筋の微小循環の調節障害が中心的な意味を持つと結論している[8]

臨床への翻訳

「こっている筋は血流が悪い」という説明は、慢性僧帽筋筋痛の患者については測定に裏づけがある[8]。ただし裏づけがあるのは血流が低いことであって、硬いことではない。第4章と合わせると、施術者が説明に使うべきは硬さではなく循環の側だと分かる。灸が実際に血流を変えるかどうかは、本ライブラリの『灸と血流の生理学①』で扱っている。

09筋線維の形態と血流の対応

血流の低下は、筋線維の形態変化と対応していた。生検を用いた研究がある。

9-1 17人の生検

反復的な組立作業に伴う静的負荷に関連した限局性の慢性筋痛をもつ17人から、疼痛のある上部僧帽筋の両側開放生検が行われた。生検を採取する前に、レーザードップラー血流計で露出した筋の血流が記録された[9]

9-2 結果

孤立した病的なragged red fibersが筋痛の存在と関連していた。ミトコンドリア機能の障害を示すこの所見は、I型線維に限局していた[9]

痛みは左右差として評価され、ragged red fibers の存在も同様に評価された。筋痛は局所血流の低下と相関し、痛みの左右差が大きいほど血流の低下も大きかった。ミトコンドリアの変化の存在と血流低下のあいだにも相関が認められた[9]

この研究の位置づけ

対象は17人であり、特定の作業関連筋痛の集団である(階層B)。生検という侵襲的な手法を用いているため追試は容易ではない。ここから「肩こりの人の筋にはミトコンドリア障害がある」と一般化することはできない。

臨床への翻訳

静的な負荷が長く続く作業に就いている患者では、筋の中で構造的な変化が起きている可能性がある。施術で扱えるのはその筋の状態の一部であり、負荷そのものを変えなければ同じ状態が再生産される。作業姿勢と休憩の取り方を聞き取ることは、施術と同じ重みを持つ。

10刺激後の血流反応は患者で小さい

刺鍼で筋血流が上がることは知られている。しかしその上がり方は、誰に対しても同じではない。

10-1 3群の比較

健常者、線維筋痛症の患者、作業関連僧帽筋筋痛の患者の3群を対象に、僧帽筋への刺鍼が局所血流に及ぼす影響を比較した研究がある。刺激は深部筋刺激と皮下刺入の2種類で、肩の上部に行われ、刺激後60分間にわたり光電容積脈波法で血流が測定された[10]

10-2 結果

3群のいずれでも、深部刺激と皮下刺入の双方で僧帽筋と直上皮膚の血流増加が認められた。ただしその現れ方は群で異なった[10]

表 10-1 刺鍼後の僧帽筋血流反応の群間差[10]
深部刺激と皮下刺入の関係
健常者深部刺激のほうが皮膚・筋の血流増加に優れていた
線維筋痛症皮下刺入が深部刺激と同等、あるいはより有効であった
作業関連僧帽筋筋痛(重症)刺激間に差がなく、全般に血流反応が小さかった

深部刺激では、筋血流の増加が健常者において2つの患者群より有意に大きかった[10]

筋血流の増加は、僧帽筋の圧痛閾値、頸部の可動域、刺激時に感じた痛みと正の相関を示し、自発痛に関連する変数・症状の持続期間・年齢とは負の相関を示した。著者らはこれを、症状が悪化するほど結果が好ましくなくなること、そして血流増加における侵害受容器の活性化の重要性を指すものと述べている[10]

この研究の限界

刺激は鍼であり、灸ではない(階層B)。ここから灸の血流反応を推定することはできない。使えるのは、同じ刺激でも患者の状態によって局所の反応が違いうるという構造である。

臨床への翻訳

症状が長く強い患者ほど、局所の血流反応は小さくなる方向で報告されている[10]。「よく効く人」と「効きにくい人」の差を施術者の技術の差として抱え込む前に、この所見を思い出す。効きにくさは、患者の側の状態を反映している可能性がある。

第IV部

見落としを防ぐ

頸部は、まれではあるが帰結の重い病態が隠れうる部位である。頻度は低い。だからこそ、何を手がかりにするかを先に決めておく。

この部を読むと頸部の重篤病態を、頻度ではなく所見の組み合わせで拾えるようになる。

11椎骨動脈解離という例外

頸部痛を主訴として現れる椎骨動脈解離の報告を、系統的に集めたスコーピングレビューがある。典型像は、施術者の想定とずれている。

11-1 46研究・58例

頭蓋外椎骨動脈解離により頸部痛を主訴として受診した成人を対象に、MEDLINE・Embase・Web of Science・CINAHLを検索したスコーピングレビューがある。組み入れられたのは46研究(症例報告38・症例集積8)・58例である[11]

11-2 患者像

表 11-1 頸部痛を主訴とした頭蓋外椎骨動脈解離58例の特徴[11]
項目報告値
女性の割合63.8%
平均年齢36.8歳
神経症状を伴った割合3分の2
全身症状(主に悪心・嘔吐)24.1%
運動麻痺・感覚脱失・反射異常(各項目)およそ40〜47%
脳神経の診察が記載されていた割合25.9%

頸部痛は典型的に片側性・重度で、鎮痛薬に反応しにくく、しばしば頭部・上肢・肩へ放散していた。発症の契機は、半数で同定できる原因がなく、外傷または頸部の急な運動がさらに3分の1を占めた[11]。危険因子の報告は一貫していなかったが、現在の喫煙と高血圧が最も多く記載されていた[11]

神経症状は3分の2に認められ、最も多かったのは上肢の脱力とめまいであった[11]

11-3 著者らの結論

著者らは、頸部痛を伴う頭蓋外椎骨動脈解離の症状と人口統計学的特徴はきわめて多様であり、診断精度のデータが限られ報告も一貫していないため、レッドフラッグの臨床的有用性は不確かなままであると結論している。より確かな証拠が得られるまで、臨床家は専門家の推奨に従ってスクリーニングを行いつつ、高い警戒を保つべきであるとされている[11]

この証拠の階層

組み入れられた46研究はすべて症例報告または症例集積である(階層E)。したがってここから頻度や診断精度を推定することはできない。分かるのはどのような姿で現れうるかだけである。

臨床への翻訳

この58例の平均年齢は36.8歳で、63.8%が女性である。つまり「高齢者に多い病気だから若い女性の肩こりは心配ない」という読み方は、報告値と逆である。片側性で強く、鎮痛薬が効かず、上肢の脱力やめまいを伴う頸部痛は、たとえ患者が若くても医療につなぐ。この判断は、頻度ではなく帰結の重さで決める。

12腫瘍を疑う所見の現在地

頸部痛が腫瘍の初発症状であることがある。そのレッドフラッグの証拠は、どこまで揃っているのか。

12-1 10,211件から25研究

プライマリケアで頸部痛を主訴として受診し、最終的に腫瘍と診断された患者を対象に、4つのデータベースを2025年6月まで検索したスコーピングレビューがある。10,211件の記録から組み入れ基準を満たしたのは25研究で、そのすべてが症例報告であった[12]

12-2 報告された所見

最も頻繁に報告されたレッドフラッグは、重度の頸部痛(進行性かつ持続性になりうる)、神経学的な徴候と症状、そして夜間の頸部痛であった[12]

ただし報告には不整合があった。よく論じられるレッドフラッグの多くが症例報告には現れず、逆に症例報告で強調されたレッドフラッグのなかには文献で広く扱われていないものがあった[12]

著者らの結論は、プライマリケアにおける頸部痛患者の腫瘍のレッドフラッグに関する証拠は断片的であり、頻繁に報告される項目があってもその臨床的有用性は報告の不整合と確かな証拠の欠如によって限られている、というものである[12]

臨床への翻訳

夜間痛は、施術者が問診で必ず拾える所見である。「横になると楽になりますか」「夜中に痛みで目が覚めますか」の2問で足りる。頻度は低いが、聞かなければゼロにしかならない。

13クラスターとして読む

レッドフラッグを個別の項目として扱うことの限界は、専門家自身が指摘している。臨床家の合意から得られた整理を見る。

13-1 名義集団法による合意形成

重篤な頸部病態の診断と管理の経験をもつ英国の臨床家10名を対象に、名義集団法を用いた質的研究が行われた。参加者は候補となるレッドフラッグを個別に挙げ、構造化された集団討議で洗練し、あらかじめ定めた合意閾値を用いて採否を投票した[13]

その結果、危険因子・症状・徴候という3つの領域にわたる8つのカテゴリについて合意が得られた。参加者が優先した早期の指標には、痛みの性状、機能の低下、微細な神経学的変化、そして患者が報告する「頭や首を支えるのがつらい」という訴えが含まれた[13]

13-2 最も重要な指摘

臨床家たちは、レッドフラッグは孤立した所見としてではなく、経時的に変化していく所見の集まり(クラスター)として解釈されるときに最も情報を持つことを強調した[13]

この研究の階層

これは10名の臨床家による合意形成であり、診断精度を測った研究ではない(階層E相当)。ただし、第11章・第12章で見たとおり、この領域には診断精度のデータそのものが乏しい。証拠が薄い場所で、専門家がどう推論しているかを示す資料として読む。

臨床への翻訳

施術者が実務で使える形にすると、次の3点になる。(1)所見が複数重なっているか。(2)前回来院時から新しく出現したものか。(3)痛みの性状が、機械的な負荷と対応しない形に変わっていないか。この3点は、毎回の問診に組み込める。

第V部

測る・選ぶ

第II部から第IV部までの知見を、施術室で使える形に組み直す。そして、この分野に残っている空白を言葉にする。

この部を読むと自覚・硬度・圧痛閾値を役割で使い分け、灸を選ぶ前の選択肢を説明できるようになる。

14何を測るか——自覚・硬度・圧痛閾値

肩こりの施術で測れる量は3種類ある。それぞれが別のことを示しており、同じ方向に動くとは限らない。

14-1 3つの量

表 14-1 肩こりの評価で用いられる3つの量
測り方本書で確認したこと
自覚度VAS・数値評価尺度筋硬度とは相関しなかった[4]
筋硬度硬さ計・エラストグラフィ触診と一致するが、肩こりの有無を区別しなかった[4]
圧痛閾値圧痛計介入で変わらないことがある[15]

14-2 3つが揃って動かない例

鍼灸の経験のない健常成人19人を対象に、山元式新頭鍼療法のA点刺激・D点刺激・無刺激を無作為な順序で行い(1週間以上の休止期間を挟む)、肩こりのVAS、圧痛閾値、筋硬度を刺激前・刺激中・刺激20分後に、評価者盲検で測定した交差試験がある[15]

結果は次のとおりであった。圧痛閾値には3群間で有意差が認められなかった。一方、VASには3群間および A点と対照の比較で有意差が認められた。群内解析ではA点で有意な改善があり、D点ではなかった[15]

著者らは、対象が健常成人であるため効果量は小さく、今後は症状のある患者を対象とした大規模研究が必要であると述べている[15]

要点

自覚(VAS)は動いたが、圧痛閾値は動かなかった。第II部で見たとおり、自覚は筋硬度とも対応しない。肩こりの領域では、主観の指標と客観の指標が別々に動くことを前提に記録を設計する必要がある。

臨床への翻訳

測るのは自覚度を主、硬度を従にする。患者にとっての結果は自覚のほうであり、硬度は施術者の手技の記録として残す。両者がずれたときは、ずれた事実そのものを記録する。ずれは失敗ではなく、この訴えの性質である。

15二次性を疑い、医療へ戻す判断

第IV部の知見を、施術室で使える判断の形にまとめる。以下は本書が引用した知見から導ける整理であり、ガイドラインではない。

15-1 その場で医療につなぐ

  • 片側性で重度、鎮痛薬に反応しにくい頸部痛に、上肢の脱力またはめまいを伴うとき。椎骨動脈解離の58例では神経症状が3分の2に認められ、最も多かったのが上肢の脱力とめまいであった[11]
  • 頭や首を支えるのがつらいという訴え。英国の臨床家が早期の指標として優先した項目に含まれる[13]
  • 進行性かつ持続性になる重度の頸部痛、神経学的な徴候、夜間の頸部痛[12]

15-2 施術しながら注意して見る

  • 所見が複数重なっているとき。レッドフラッグはクラスターとして解釈されるときに最も情報を持つ[13]
  • 前回来院時になかった所見が新しく出現したとき[13]
  • 静的な負荷が長時間続く作業に就いているとき。この集団では筋の構造的変化が報告されている[9]

15-3 頻度で判断しない

椎骨動脈解離も腫瘍も、頸部痛の原因としてはまれである。しかし椎骨動脈解離の58例の平均年齢は36.8歳、女性が63.8%であった[11]。年齢と性別から「まず心配ない」と判断する根拠にはならない。

臨床への翻訳

紹介の判断は、施術者の不安の強さではなく、上の項目の有無で決める。決め方をあらかじめ文章にしておくと、迷ったときに判断がぶれない。そして、紹介したあとに施術を続けるかどうかは別の判断である。

16灸を選ぶ前に置くべき選択肢

灸を据えるかどうかを決める前に、この訴えに対して他に何が使えるのか。証拠の強さの順に確認しておく。

16-1 運動療法

頸部痛の成人を対象に、単一の治療的運動を対照と比較した無作為化比較試験を集めたCochraneレビューがある。27試験(無作為化3,005人のうち解析対象2,485人)が組み入れられた[14]

急性の頸部痛については、証拠が見つからなかった[14]。慢性の頸部痛については、中等度の質の証拠として次が示されている[14]

表 16-1 慢性頸部痛に対する運動療法(中等度の質の証拠)[14]
運動の種類アウトカム統合効果量95%信頼区間
頸部・肩甲胸郭・上肢の筋力トレーニング疼痛(治療直後)SMDp −0.71−1.33〜−0.10
頸部・肩・肩甲胸郭の筋力強化と伸張の複合疼痛(治療直後)SMDp −0.33−0.55〜−0.10
同上機能SMDp −0.45−0.72〜−0.18
頸部・肩甲胸郭の筋力強化/安定化疼痛と機能(中期)SMDp −14.90−22.40〜−7.39

低い質の証拠として、呼吸運動、全身の体力トレーニング、伸張のみ、パターン同期を伴うフィードバック運動は、治療直後の疼痛や機能を変えない可能性があるとされている[14]

16-2 温熱

非特異的頸部痛に対する温熱療法の有効性をまとめた系統的レビューがある。Medlineを2025年1月に検索して91研究が同定されたが、組み入れ基準を満たしたのはわずか2研究・計67人であった。いずれも乾式の温熱(ヒートラップまたはヒートセル)を検討したものである[16]

頸部痛と頸部関連の障害の減少が報告されたものの、組み入れ研究数の少なさ、標本の小ささ、両研究の方法論的な質の低さにより、証拠基盤は非常に限られていた[16]

著者らの結論は、非特異的頸部痛に対する温熱療法の現在の証拠はきわめて限定的で、使用を推奨することも推奨しないことも支持できない、ただし重篤な有害作用が予期されないことを踏まえれば、温熱の使用は患者の自己管理の選択肢として依然として考慮されうる、というものである[16]

臨床への翻訳

この2つを並べると、施術者の位置が見える。運動には中等度の質の証拠があり、温熱には自己管理の選択肢として考慮されうる程度の証拠しかない。灸もまた温熱である。したがって「灸で治す」ではなく、運動を続けられる状態にするために温めるという組み立てが、証拠の構造に合っている。灸そのものの証拠は第2巻で扱う。

17この分野で分かっていないこと

本書の調査範囲で確認できた空白を列挙する。空白を正確に言えることは、埋まっていると誤解しているよりも臨床的に安全である。

17-1 「こり」の実体についての空白

肩こりの自覚度と筋硬度に相関がないことが日本の研究で報告されている[4]。では、こりの自覚は何と相関するのか。この問いに答えた研究は、今回の調査範囲では見出せなかった。

慢性僧帽筋筋痛では疼痛側の血流低下が一貫して認められている[8]。しかし、それが日本語で言う「肩こり」を訴える人にも当てはまるかを検証した研究は見出せなかった。北欧の研究の対象は、就労能力に支障をきたして紹介された患者である[8]

17-2 測定の空白

肩こりの重症度を測る、国際的に検証された尺度は、今回の調査範囲では見出せなかった。頸部痛には Neck Disability Index などの尺度があるが、こり感・重圧感を主とする訴えを測る目的で妥当性が検証されたものではない。

17-3 見落としについての空白

頸部の重篤病態のレッドフラッグについて、診断精度を定量した研究は乏しい。椎骨動脈解離では組み入れ46研究すべてが症例報告または症例集積であり[11]、腫瘍では25研究すべてが症例報告であった[12]鍼灸院という場での診断精度を測った研究は見出せなかった。

表 17-1 本書で確認した空白の一覧
問い現時点で分かっていること
こりの自覚は何と相関するのか筋硬度とは相関しなかった[4]。相関する量は見出せなかった
日本の肩こり患者の筋血流見出せなかった(北欧の僧帽筋筋痛患者では血流低下[8]
肩こりの検証された重症度尺度見出せなかった
頸部レッドフラッグの診断精度症例報告のみで定量できない[11][12]
鍼灸院でのレッドフラッグの精度見出せなかった
臨床への翻訳

これらの空白は、施術をしてはいけない理由ではない。「硬いから、こる」と説明してはいけない理由である。患者に伝えるなら「肩こりの強さと筋の硬さは、研究では対応していませんでした。ですから硬さではなく、あなたが感じている強さと、できるようになったことで判断します」となる。これは弱い説明ではなく、正確な説明である。

演習

理解度チェック

全12問。選択するとその場で正誤と解説が出ます。各設問は設問文だけで解ける形にしてあり、前提となる研究の条件は設問文の中に書いてあります。自己確認のための演習であり、資格や技能を証明するものではありません。

第I部訴えの輪郭2問
Q01 出典:第1章第2章

日本整形外科学会肩こりプロジェクト委員会による肩こりの定義に含まれているものはどれか。

Q02 出典:第3章

世界疾病負荷研究2019を用いた解析では、1990年から2019年にかけて頸部痛の有病者数が増加したと報告された。その増加率はどれか。

第II部「こり」は測れるのか4問
Q03 出典:第4章

肩こり群60名と非肩こり群10名を対象に、生体組織硬さ計と第三者の触診で筋硬度を測った日本の研究で、認められなかった関係はどれか。

Q04 出典:第4章第5章

硬さ計の測定値と第三者による触診が有意に相関したという所見から、言えることはどれか。

Q05 出典:第6章

緊張型頭痛の患者203人で、筋硬度計による上部僧帽筋の硬さと頭痛の重症度の関連を調べた研究において、頭痛重症度と有意に関連しなかったものはどれか。

Q06 出典:第7章

健常若年成人22人に上部僧帽筋の自己ストレッチを行わせ、前後の変化を測定した研究で観察されたことはどれか。

第III部筋の中で何が起きているか3問
Q07 出典:第8章

慢性僧帽筋筋痛と診断された76人を、レーザードップラー血流計と表面筋電図で測定した研究の主要な所見はどれか。

Q08 出典:第9章

反復的な組立作業に伴う慢性筋痛の患者17人から上部僧帽筋の生検を行い、同時に血流を測定した研究で報告されたことはどれか。

Q09 出典:第10章

健常者・線維筋痛症・作業関連僧帽筋筋痛の3群に僧帽筋への刺鍼を行い、刺激後60分間の血流を測定した研究の所見はどれか。

第IV部・第V部見落としと選択肢3問
Q10 出典:第11章

頸部痛を主訴とした頭蓋外椎骨動脈解離58例を集めたスコーピングレビューが報告した患者像はどれか。

Q11 出典:第12章第13章

頸部の重篤病態のレッドフラッグについて、複数の研究が共通して指摘していることはどれか。

Q12 出典:第16章

非特異的頸部痛に対する温熱療法の系統的レビューは、91研究を同定したうえで、ある結論を述べている。その結論はどれか。

解答ずみ 0 / 12
付録

引用文献

本書の記述はすべて以下の資料に基づく。数値は原著の報告値であり、編者による換算・推定は行っていない。症例報告に基づく資料は、本文中でその旨を明記した。

  1. 林健太朗. 肩こりに対する鍼通電療法の臨床とそのエビデンス. 日本東洋医学系物理療法学会誌. 2025;50(2):33-39. J-STAGE
  2. Wu H, Li Y, Zou C, Guo W, Han F, Huang G, Sun L. Global burden of neck pain and its gender and regional inequalities from 1990-2021: a comprehensive analysis from the Global Burden of Disease Study 2021. BMC Musculoskelet Disord. 2025. PMC11786424
  3. Cheng S, Cao J, Hou L, Li S, Sun W, Shan S, Zhao J, Yao L, Li X, He B, Song P. Temporal trends and projections in the global burden of neck pain: findings from the Global Burden of Disease Study 2019. Pain. 2024. PMC11562759
  4. 奥野浩史, 竹田太郎, 笹岡知子, 福田文彦, 石崎直人, 北小路博司, 矢野忠, 山村義治. 肩こりと肩上部の硬さとの関係. 全日本鍼灸学会雑誌. 2009;59(1):30-38. J-STAGE
  5. Shimada D, Ishikawa E, Kawai T, Harada Y, Hatayama T, Kono T, Okamura K, Terakado T, Toyoda K, Iijima S, Sasaki Y, Miyawaki S. Association Between Trapezius Muscle Stiffness and Headache Severity in Patients With Tension-Type Headache. Eur J Neurol. 2025. PMC12554949
  6. Yoshimura M, Taniguchi T, Yoshitomi T, Hashimoto Y. Investigation of Skin Circulation Hemodynamics Using Skin Laser Speckle Flowgraphy After Trapezius Muscle Self-Stretching. Muscles. 2026. PMC13214651
  7. Taniguchi T, Mutou R, Oki K, Yoshimura M, Kodama Y, Nakamura N, Hashimoto Y. Investigation of Effects of Ultrasound Therapy on Trapezius Muscle Stiffness and Choroidal Blood Flow Velocity. Muscles. 2026. PMC13108191
  8. Larsson R, Öberg ÅP, Larsson SE. Changes of trapezius muscle blood flow and electromyography in chronic neck pain due to trapezius myalgia. Pain. 1999. PMID 9928775
  9. Larsson SE, Bodegård L, Henriksson KG, Oberg PA. Chronic trapezius myalgia. Morphology and blood flow studied in 17 patients. Acta Orthop Scand. 1990. PMID 2239160
  10. Sandberg M, Larsson B, Lindberg LG, Gerdle B. Different patterns of blood flow response in the trapezius muscle following needle stimulation (acupuncture) between healthy subjects and patients with fibromyalgia and work-related trapezius myalgia. Eur J Pain. 2005. PMID 16139178
  11. Feller D, Mourad F, Maselli F, Lullo G, Milella C, Koes B, Chiarotto A, De Zoete A. Red flags for extracranial vertebral artery dissections in patients with neck pain: a scoping review. J Man Manip Ther. 2026. PMID 42623244
  12. Occhetto B, Ballesio M, Mourad F, Trucco M, Maselli F, Chiarotto A, Feller D. Red flags to screen for tumours in patients with neck pain: A scoping review. Physiotherapy. 2026. PMID 41529318
  13. Greenhalgh S, Ghorbankhani M, Finucane L, Yeowell G. Identifying red flags for serious neck pathology: A UK nominal group study. Musculoskelet Sci Pract. 2026. PMID 42068775
  14. Gross A, Kay TM, Paquin JP, Blanchette S, Lalonde P, Christie T, Dupont G, Graham N, Burnie SJ, Gelley G, Goldsmith CH, Forget M, Hoving JL, Brønfort G, Santaguida PL. Exercises for mechanical neck disorders. Cochrane Database Syst Rev. 2015. PMC9508492
  15. Kaneko S, Kamiya T, Takayama S, Arita R, Ono R, Kikuchi A, Ohsawa M, Suematsu T, Omata F, Kasukabe S, Suzuki M, Ishii T. Observer-Blind Randomized Crossover Trial of Yamamoto New Scalp Acupuncture in Diagnosis and Treatment Points for Neck Pain and Shoulder Stiffness in Healthy Participants. Med Acupunct. 2025. PMID 41573022
  16. Wilfling D, El-Allawy A, Muche-Borowski C, Kötter T. Use of Heat for the Self-Management of Non-Specific Neck Pain: A Systematic Review. J Pain Res. 2026. PMC13269032

本書の数値はすべて原著論文の報告値である。編者が計算・換算した値は載せていない。信頼区間・p値・効果量は原著の表記をそのまま用い、丸めていない。日本語文献の記述は抄録本文から採り、二次資料からの孫引きはしていない。本文で扱った知見の確実性は、章ごとにエビデンス階層(A〜E)で明示した。第1版・2026年9月。