glossary — お灸の用語辞典
お灸の用語辞典
教材に出てくる用語を172語まとめました。定義はすべて教材本文に書かれている範囲にとどめ、 数値は原著の報告値をそのまま記しています。各語から、その語を扱っている章に直接飛べます。
知熱灸
台座灸
温筒灸
棒灸
箱灸
隔物灸
灸頭鍼
刺入した鍼の柄に艾を装着して燃やす手技。金属鍼を熱伝導路として深部組織へ熱を運ぶ唯一の灸法とされる。
艾炷
施灸のためにひねった艾のかたまり。米粒大艾炷では、ひねりの固さ(密度)と温度の持続時間に有意な直線回帰が報告されている(r = 0.92)。
艾条
棒状に固めた艾。燃焼中の1本の断面内で400℃を超える温度差が報告されており、「艾条の温度」を一つの数字で表すことはできない。
偽灸
打膿灸
直接灸と間接灸
灸の安全性の系統的レビューが用いている区別。直接灸は艾炷を皮膚上に置くもの、間接灸は皮膚との距離を保つもので、間接灸には台座灸・温筒灸・棒灸・箱灸・隔物灸が含まれる。研究の結果を引用するときは、その試験の「灸」がどちらかを確認する。
艾
ヨモギの葉から特定の部分だけを取り出した燃焼材料。葉そのものではなく、葉の裏に生える毛茸を集めたものである。
毛茸
植物の表皮にある毛状の突起。ヨモギではこれが艾の実体となる。分泌毛と非分泌毛があり、艾は非分泌毛が主体と理解されているが、精製後にどの比率で残るかを定量した研究には到達できていない。
精製
艾から葉肉や夾雑物を取り除く工程。生葉と艾の重量比を上げると親水性のフェノール酸・フラボノイドが58.67〜84.06%減少すると報告されており、薬理成分を捨てて熱源としての性質を得る工程といえる。
寝かせる
製造後の艾を保管して熟成させること。3年と10年の試料を比べた熱重量分析では着火温度が218.3℃と222.6℃で、10年のほうがわずかに高いと報告されている。原著は年数の良し悪しを述べていない。
熱重量分析
試料を加熱しながら質量変化を測る手法。艾の燃焼は三段階で進み、第1段階(120℃未満)で水分と揮発性成分が失われることが示されている。
GC-MS
ガスクロマトグラフィーと質量分析を組み合わせた成分分析法。お灸の煙の成分研究で用いられるが、報告されるのが「存在比」か「実濃度」かで印象が大きく変わる点に注意が必要。
お灸の煙
艾の燃焼で生じる煙。日本の艾を日本の施術環境で測った研究では、測定された物質はいずれも基準値以下と報告されている。同時に有害物質は必ず生成するため、作業環境の措置は必要とされる。
温度曲線
施灸中の温度を時間軸に沿って描いた曲線。立ち上がりの速さ・ピークの持続・裾の長さという形が刺激の性格を決める。最高温度だけを比べても灸種の違いは捉えられない。
42℃
燃焼帯
燃焼中の艾の先端の赤熱部(550〜700℃)。その後方に赤外放射帯(200〜400℃)があり、皮膚に届く熱の大部分は高温部ではなくこの放射帯からの輻射と、灰・台座を介した伝導による。
赤外放射
艾の燃焼が出す放射。可視光ではなく赤外であり、生体組織における透過深度は波長により数百µm〜数mm程度にとどまる。「赤外線が深部まで直接届く」という説明は物理的に成立しない。
熱電対
模擬生体モデル
生体の熱物性を模した測定用の試料。積層した生ハムを用いた研究では、台座灸の最表面温度が26.71℃・27.41℃と報告されている。同じ台座灸が55.9℃とも報告されるのは、測定点と測定対象が違うためである。
TRPV1
TRPV2
TRPV3・TRPV4
温度感受性TRPチャネル
Aδ線維
C線維
侵害受容器
末梢感作
炎症などにより侵害受容器の閾値が下がり、同じ刺激でより大きな応答が出る状態。TRPV1の熱活性化閾値は炎症性メディエータで最低30℃付近まで下がると報告されている。
軸索反射
CGRP
フレア反応
脊髄後角
WDRニューロン
体性-自律神経反射
下行性疼痛調節系
DNIC / CPM
タキフィラキシー
HSP70
熱ショック応答
熱ストレスに対して細胞が熱ショックタンパク質を誘導する防御反応。ヒト肺上皮細胞では37〜41℃で比例的に増え、41℃から42℃で不連続に立ち上がると報告されている。
HSF1
熱ショックタンパク質の遺伝子発現を制御する転写因子。タンパク質そのものが温度センサーとして働き、精製標本では転移の中点が36.15 ± 0.14℃(10分の前保温後)と報告されている。
DAMP
傷害を受けた自己の細胞から放出され、免疫系に危険を知らせる分子群。細胞外に出たHSP70もその一つとされ、CD14およびTLR2・TLR4が受容体として最初に提唱された。ただしこの位置づけは論争の対象であり続けている。
TNF-α
一酸化窒素
血管内皮が産生する血管拡張物質。血流が増えると内皮に加わるずり応力が上がり、eNOSが活性化してNOが産生される正のループがある。
ずり応力
血流が血管内皮に加える摩擦力。慢性温熱療法による血管内皮機能の改善は、この経路の反復刺激によると考えられている。
動静脈吻合
手掌・足底・指趾・耳・鼻などの無毛部にある、細動脈と細静脈を毛細血管を介さず直結する構造。交感神経の支配が強く、開けば大量の血液が皮膚表層を通って熱を放散する。
伝導・輻射・対流
熱の三つの伝わり方。台座灸のように皮膚に接触する灸では伝導が働き、棒灸や灸頭鍼のように皮膚から離れた灸では輻射が主となる。対流は燃焼で生じた上昇気流や、体内では血流がこれにあたる。
熱物性
熱の伝わり方を決める材料側の量。熱伝導率 k(W/m/K)は温度差があるときの熱の流れやすさ、比熱 c(J/kg/K)は 1 kg を 1 K 温めるのに必要な熱量、密度 ρ(kg/m³)は単位体積あたりの質量で、この三つが熱の広がりやすさを決める。
ペンネスの生体熱輸送方程式
生体組織の熱輸送を記述する古典的なモデル。血流による熱の移動を熱の吸い込み(ヒートシンク)として扱い、その大きさは血液の灌流量と、動脈血温と組織温の差に比例する。皮膚が血流を増やして反応するまでの時間は約 20秒 とされ、短時間で終わる灸ではこの冷却が立ち上がる前に加温が終わっている可能性がある。
損傷積分
熱による組織損傷を、温度と時間の積み重ねとして記述するアレニウス型の速度式。Ω の値が 0.53、1.0、10⁴ のとき、それぞれI度・II度・III度の熱傷に対応するという報告が引用されている。熱損傷の臨界温度は約 43℃ であり、それ以下ではどれだけ長くさらしても損傷は生じないと記されている。
熱傷閾値
低温熱傷
レーザードップラー血流計
組織の微小循環を非侵襲で測る装置。出力は相対値であり、機器や部位をまたいだ絶対値の比較はできない。
FMD
心拍変動
心拍間隔のゆらぎ。RMSSD などの指標が副交感神経活動の推定に用いられるが、推定であって直接測定ではない。
侵害受容性疼痛
組織の損傷や炎症によって侵害受容器が活性化して生じる痛み。変形性膝関節症の痛みなどが該当する。
神経障害性疼痛
侵害可塑性疼痛
アロディニア
通常は痛みを起こさない刺激で痛みが生じる状態。
創傷治癒の四相
皮膚創傷が治る過程の記述。止血(受傷直後)、炎症(数日間)、増殖(数週間)、成熟・再構築(3週目ごろから最長12か月)の四相で進む。灸の研究で「7日目に増えた」「14日目に減った」を読むための時間の目盛になる。
瘢痕
灸痕
肉芽組織
増殖相で創の欠損を埋める、線維芽細胞・新生血管・細胞外基質からなる組織。灸の動物実験では、この肉芽組織におけるVEGF発現が測定対象になっている。
線維芽細胞
マクロファージ極性
コラーゲンⅠ/Ⅲ比
創部のI型コラーゲンとIII型コラーゲンの構成比。難治性皮膚潰瘍モデルでは、モデル群で正常群より有意に高く、灸群・TDP群ではモデル群より有意に低かったと報告されている。原著の著者らはこれを瘢痕形成の減少と結びつけて解釈している。
血管新生
既存の血管から新しい血管が伸びる過程。増殖相の中心的な現象であり、再構築相では新生血管は減少していく。灸の動物実験では微小血管数(MVC)として計数され、3日・7日で増加し14日で低下したと報告されている。
VEGF
温熱前処置
創ができる前にあらかじめ組織を温めておく操作。レーザーで43〜44℃に12時間前から加温した研究では、切開創が対照より強く治ったと報告されている。灸ではなくレーザーによる介入であり、創ができたあとに行う施灸とは介入の順序が逆である点に注意を要する。
Marjolin潰瘍
熱傷瘢痕など、以前に損傷を受けた皮膚から生じる悪性腫瘍。熱傷瘢痕を有する者の1〜2%に生じ、主要な組織型は扁平上皮癌とされる。灸痕からの発生率を分母つきで示した研究には到達できておらず、この値を灸痕にそのまま当てはめることはできない。
エビデンス階層
系統的レビュー
Cochraneレビュー
出版バイアス
盲検化
効果量
撤回論文
機能性ディスペプシア
食後愁訴症候群
心窩部痛症候群
過敏性腸症候群
Rome IV 基準
Bristol便形状スケール
機能性便秘
完全自発排便
大腸通過時間
適応性弛緩
トリチュレーション
胃前庭部の反復収縮が固形物をすりつぶす過程。消化可能な固形物は2〜3mm未満の粒子に粉砕されて初めて幽門を通過すると報告されている。
胃排出能
内臓知覚過敏
脳腸相関
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎
クローン病
跳躍性病変
正常な粘膜を挟んで病変が飛び飛びに存在する分布。クローン病に特徴的で、直腸から連続して広がる潰瘍性大腸炎と対比される。
中毒性巨大結腸症
大腸が急激に拡張し全身状態が悪化する潰瘍性大腸炎の合併症。潰瘍性大腸炎で最も多い死因と記述されている。
粘膜治癒
CDAI
Mayoスコア
CDEIS
便中カルプロテクチン
警告徴候
実薬対照
主要評価項目
割付隠蔽
次の被験者がどちらの群に入るかを、割り付けを行う者に分からなくする手続き。破れると、症状の軽い患者を治療群に寄せることが意図せず起こりうる。過敏性腸症候群の灸試験20件のうち、これが記述されていたのは2件であった。
異質性
GRADE
代理指標
非劣性
新しい介入が既存の治療より劣らないことを示す主張。「同等の効果を持つ可能性がある」という結論は、優れているという主張ではない。非劣性を主張する試験には、あらかじめ非劣性の限界値を定めた設計が求められる。
臨床的に意味のある最小の差
患者が意味を感じられる変化の大きさとして、あらかじめ設定される差。50歳以上で慢性の膝痛をもつ282人の試験では、疼痛(0〜10)で 1.8単位、機能(WOMAC 0〜68)で 6単位 が設定された。有意差の有無だけでなく、この大きさに届いているかを見る。
非特異的効果
自然経過
ネットワークメタ解析
待機群対照
介入を待っている群を対照に置く設計。何もしない群と比べるため差が出やすく、偽刺激との比較より大きな効果に見える。脱落率も群間で大きく違うことがあり、ある試験では介入群の脱落が 21.9%、待機群が 2.6% であった。
用量反応関係
刺激の量(時間・回数・期間・壮数)と効果の大きさの対応。灸の臨床試験ではこの対応を検証した試験が乏しく、産科領域では用量反応関係を検証した試験を見出せていない。「何壮すえるか」を根拠づける数値が、多くの領域で存在しない。
アウトカム測定のバイアス
効果を測る人が割り付けを知っていることで生じる偏り。腰痛の試験を対象とした解析では、身体機能についてのみこのバイアスとの関連が有意で、調整後の標準化平均差は −0.40(95%CI −0.77〜−0.02)であった。自院で効果を測るとき、施術した本人が「良くなりましたね」と聞き取ることは、このバイアスそのものにあたる。
表皮
真皮
角層
皮膚のバリアの実体。角質細胞がレンガ、細胞間を満たす脂質のラメラ構造がモルタルに喩えられる。厚さは部位によって10倍以上違い、90分間の水和で見かけ厚は最大で2倍まで増加したと報告されている。
角層見かけ厚
共焦点ラマン分光法で皮膚内部の水分濃度プロファイルを測り、水分量がほぼ一定になる深さとして定義された角層の厚み。健常な日本人 33名 を対象に部位差と加齢変化が調べられ、前腕では加齢に伴って厚くなる傾向がみられた。
経表皮水分蒸散量
皮膚の血管叢
皮膚血管コンダクタンス
皮膚の血管拡張の程度を、最大血管拡張時を100%とする相対値で表した指標。皮膚温を 34℃ から 42℃ へ上げると基線の 20.0 ± 6.8 からプラトーの 80.7 ± 6.9 %CVCmax へ達し、38℃ までの加温では 52.9 ± 10.5 にとどまる。同じ 42℃ でも毎分1回のパルス加温では 66.3 ± 12.2 にとどまる。
自律神経系
交感神経系
副交感神経系
腸管神経系
消化管がそれ自身のために進化させた神経系。消化管は完全な神経系を持つ唯一の臓器であり、この神経系は中枢神経系からの神経入力なしに完全に機能しうる。
局所加温の三相
皮膚を局所的に温めたときに起きる血管拡張の時間経過。第1相は軸索反射による一過性の血管拡張、第2相は主として一酸化窒素(NO)によるプラトー相、第3相はゆるやかな反転(die-away 現象)で、第3相は交感神経性血管収縮神経が保たれていることに依存する。灸の局所反応を読むとき、加温そのものが起こす反応をこの形で差し引く必要がある。
微小神経電図
末梢神経に微小電極を刺入し、交感神経の活動を直接記録する方法。筋交感神経活動(MSNA)は骨格筋の血管に向かう活動で血圧の拍動ごとの制御に関与し、皮膚交感神経活動(SSNA)は皮膚に向かう活動で皮膚血流と体温調節に関与する。
RMSSD
LF/HF
pNN50
隣接するRR間隔の差が50 msを超える割合。全体的な変動の大きさを表すSDNN・総パワーとともに、灸の試験で報告されている心拍変動の指標のひとつ。
免疫指標の三層
NK細胞傷害活性
総有効率
症状・所見・検査値など複数の要素を、試験ごとの基準でまとめて一つの判定にした複合指標。連続量を二値に落とすため効果の大きさが失われ、判定者は多くの場合その試験の担当医で主観が入りうる。「有効率が上がった」という記述からは、何がどれだけ良くなったのかを復元できない。
1秒量・努力肺活量
6分間歩行距離
ACTスコア
骨盤位
児の骨盤部が子宮の下部(骨盤入口側)を向いている胎位。日常語では「逆子」。股関節が屈曲し膝関節が伸展した単殿位、両方が屈曲した複殿位、下肢が先進する足位に分かれ、足位は経腟分娩のリスクが高いとされる。
外回転術
腹壁の上から児を回して頭位に戻す処置。正期産近くまで骨盤位が残った場合に産科が最初に検討する。英国王立産科婦人科学会の Green-top Guideline No. 20a(2017年)における灸・鍼の位置づけは「ECV の代替ではない」である。
妊娠中の悪心・嘔吐
妊婦の最大 85% に生じ、その大多数はセルフマネジメントで足りるとされる症状。重症例は妊娠悪阻(HG)と呼ばれ、薬物療法の対象になる。どこからが医療の対象かを分ける線を持たないまま灸を続けることが、この領域の主なリスクである。
分娩監視装置
胎児心拍と子宮収縮を連続して記録する装置。分娩期の監視の主体は医師・助産師であり、監視の道具はこの装置と内診である。鍼灸師が関与しうる範囲は、この体制の外側にある。
視床下部-下垂体-卵巣軸
月経周期を動かしている三段の系。視床下部がゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)をパルス状に分泌し、そのパルスの頻度が下垂体前葉から出るホルモンを決め、下垂体前葉が卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)を分泌し、卵巣がエストラジオールとプロゲステロンを分泌して視床下部・下垂体に戻る。
原発性月経困難症
PMDD
月経前に生じる重い気分症状の診断名。過去を振り返った聞き取りだけでは診断が付かず、前方視的な症状記録を要する。循環中のアロプレグナノロン濃度は概ね正常で、ストレスに対する応答の障害によってGABA-A受容体の機能的感受性が低下していると説明されている。
緩和ケア
STAS-J
緩和ケアで用いられる評価尺度のひとつで、患者ではなく医療者が観察して評点する。患者の自己記入による尺度と測っているものが違うため、尺度を変えると同じ介入でも結論が変わりうる。
血液毒性
がん治療に伴う血小板減少・好中球減少などの状態。この状態にある患者で灸の有害事象を主要アウトカムとして前向きに検討した研究は見出せておらず、しばしば引用される安全性データは鍼のものである。免疫抑制下の新たな発熱は、灸で対応する場面ではない。
放射線皮膚炎
放射線治療を受けた皮膚に生じる炎症。欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)の実務的推奨では、ぬるま湯で毎日洗い、優しく乾かし、摩擦を避け、保湿剤を塗ることが挙げられている。照射部位への施灸の安全性を検討した査読済みの研究は見出せておらず、ガイドラインにも灸は登場しない。
がん関連倦怠感
がんとその治療に伴う倦怠感。灸の統合値は報告されているが異質性はきわめて大きく(I² = 92.5%)、GRADEによる確実性は「非常に低い」から「低い」の範囲と評価されている。ASCO–SIO が灸を推奨した対象は「がん治療を完了した成人」であり、治療中の患者や終末期の患者はその対象ではない。
WHO三段階除痛ラダー
がん疼痛に対する薬物療法の標準的な段階づけ。灸のがん疼痛試験では、対照はいずれもこのラダーに基づく薬物療法である。したがって比較されているのは「灸か薬か」ではなく、「薬に灸を上乗せするかどうか」である。
冷え症
CHHF
手足の冷えを指す英語圏の用語。韓国医学の専門家調査は、これを「西洋医学では独立した疾患として分類されない症状である」と明記している。
冷え症の温度差定義
CISS
手の外傷後によくみられる、生活を妨げる後遺症としての寒冷過敏を測る自己記入式の尺度。著者らは得点 50 超を異常な寒冷過敏とみなすべきであると結論している。住民ベースの大規模データから閾値が導かれている点で、温度差による定義とは成り立ちが異なる。
レイノー現象
感覚低下部位への施灸
末梢神経障害などで温度感覚が低下した部位に灸をすえること。熱さの知覚が鈍るため患者が「熱い」と言う前に組織が損傷し、創傷治癒が遅れ、感染が広がりやすい。報告された症例では、腰部の 3 cm × 3 cm の熱傷から椎体・硬膜外・胸壁・肝・肺へと病巣が広がっている。熱さの申告に頼る安全装置は、この患者では働かない。
レッドフラッグ
ODI・RMDQ
STarT Back
予後不良のリスク予測にもとづいて非特異的腰痛の患者を層別し、リスクに応じた治療を割り当てる方法。総説の結論は、個人をリスク区分に振り分ける性能だけでは試験結果のばらつきを説明できない、というものである。得点を取るだけで施術内容が変わらないなら、記録が増えただけになる。
Kellgren-Lawrence分類
WOMAC
筋硬度
MUS
SSD・BDD
DSM-5の身体症状症(SSD)とICD-11の身体的苦痛症(BDD)。同じ問題意識から生まれながら基準の指定が異なる。人口調査では有病率がBDD 2.0%、SSD 3.5%、いずれかに該当する者が 4.1% と報告され、健康を理由に役割を果たせなかった日数は過去30日でBDDのみの群が 4.7日、SSDのみの群が 3.1日であった。
予測処理モデル
症状が、末梢からの入力だけでなく脳が立てている予測との差から生じると考えるモデル。臨床にもたらす最大の帰結は、「入力がなければ症状もないはずだ」という前提が成り立たないことである。施術による入力は、異常を正すためだけでなく、患者が自分の身体について立てている予測を更新する材料としても働きうる。
SSS-8・SSD-12
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