glossary — お灸の用語辞典
お灸の用語辞典
教材に出てくる用語を59語まとめました。定義はすべて教材本文に書かれている範囲にとどめ、 数値は原著の報告値をそのまま記しています。各語から、その語を扱っている章に直接飛べます。
知熱灸
台座灸
温筒灸
棒灸
箱灸
隔物灸
灸頭鍼
刺入した鍼の柄に艾を装着して燃やす手技。金属鍼を熱伝導路として深部組織へ熱を運ぶ唯一の灸法とされる。
艾炷
施灸のためにひねった艾のかたまり。米粒大艾炷では、ひねりの固さ(密度)と温度の持続時間に有意な直線回帰が報告されている(r = 0.92)。
艾条
棒状に固めた艾。燃焼中の1本の断面内で400℃を超える温度差が報告されており、「艾条の温度」を一つの数字で表すことはできない。
偽灸
艾
ヨモギの葉から特定の部分だけを取り出した燃焼材料。葉そのものではなく、葉の裏に生える毛茸を集めたものである。
毛茸
植物の表皮にある毛状の突起。ヨモギではこれが艾の実体となる。分泌毛と非分泌毛があり、艾は非分泌毛が主体と理解されているが、精製後にどの比率で残るかを定量した研究には到達できていない。
精製
艾から葉肉や夾雑物を取り除く工程。生葉と艾の重量比を上げると親水性のフェノール酸・フラボノイドが58.67〜84.06%減少すると報告されており、薬理成分を捨てて熱源としての性質を得る工程といえる。
寝かせる
製造後の艾を保管して熟成させること。3年と10年の試料を比べた熱重量分析では着火温度が218.3℃と222.6℃で、10年のほうがわずかに高いと報告されている。原著は年数の良し悪しを述べていない。
熱重量分析
試料を加熱しながら質量変化を測る手法。艾の燃焼は三段階で進み、第1段階(120℃未満)で水分と揮発性成分が失われることが示されている。
GC-MS
ガスクロマトグラフィーと質量分析を組み合わせた成分分析法。お灸の煙の成分研究で用いられるが、報告されるのが「存在比」か「実濃度」かで印象が大きく変わる点に注意が必要。
お灸の煙
艾の燃焼で生じる煙。日本の艾を日本の施術環境で測った研究では、測定された物質はいずれも基準値以下と報告されている。同時に有害物質は必ず生成するため、作業環境の措置は必要とされる。
温度曲線
施灸中の温度を時間軸に沿って描いた曲線。立ち上がりの速さ・ピークの持続・裾の長さという形が刺激の性格を決める。最高温度だけを比べても灸種の違いは捉えられない。
42℃
燃焼帯
燃焼中の艾の先端の赤熱部(550〜700℃)。その後方に赤外放射帯(200〜400℃)があり、皮膚に届く熱の大部分は高温部ではなくこの放射帯からの輻射と、灰・台座を介した伝導による。
赤外放射
艾の燃焼が出す放射。可視光ではなく赤外であり、生体組織における透過深度は波長により数百µm〜数mm程度にとどまる。「赤外線が深部まで直接届く」という説明は物理的に成立しない。
熱電対
模擬生体モデル
生体の熱物性を模した測定用の試料。積層した生ハムを用いた研究では、台座灸の最表面温度が26.71℃・27.41℃と報告されている。同じ台座灸が55.9℃とも報告されるのは、測定点と測定対象が違うためである。
TRPV1
TRPV2
TRPV3・TRPV4
温度感受性TRPチャネル
Aδ線維
C線維
侵害受容器
末梢感作
炎症などにより侵害受容器の閾値が下がり、同じ刺激でより大きな応答が出る状態。TRPV1の熱活性化閾値は炎症性メディエータで最低30℃付近まで下がると報告されている。
軸索反射
CGRP
フレア反応
脊髄後角
WDRニューロン
体性-自律神経反射
下行性疼痛調節系
DNIC / CPM
タキフィラキシー
HSP70
一酸化窒素
血管内皮が産生する血管拡張物質。血流が増えると内皮に加わるずり応力が上がり、eNOSが活性化してNOが産生される正のループがある。
ずり応力
血流が血管内皮に加える摩擦力。慢性温熱療法による血管内皮機能の改善は、この経路の反復刺激によると考えられている。
動静脈吻合
手掌・足底・指趾・耳・鼻などの無毛部にある、細動脈と細静脈を毛細血管を介さず直結する構造。交感神経の支配が強く、開けば大量の血液が皮膚表層を通って熱を放散する。
レーザードップラー血流計
組織の微小循環を非侵襲で測る装置。出力は相対値であり、機器や部位をまたいだ絶対値の比較はできない。
FMD
心拍変動
心拍間隔のゆらぎ。RMSSD などの指標が副交感神経活動の推定に用いられるが、推定であって直接測定ではない。
侵害受容性疼痛
組織の損傷や炎症によって侵害受容器が活性化して生じる痛み。変形性膝関節症の痛みなどが該当する。
神経障害性疼痛
侵害可塑性疼痛
アロディニア
通常は痛みを起こさない刺激で痛みが生じる状態。
エビデンス階層
系統的レビュー
Cochraneレビュー
出版バイアス
盲検化
効果量
撤回論文
出版後に誤りや不正が判明して撤回された論文。撤回後も引用され続けることがあり、灸の領域でも撤回されたメタ解析が確認されている。
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